仕事がうまくいかないのは「想像力」が足りないからだ
ビジネスの場にて『想像力』があるかどうかで、仕事の進め方がずいぶん変わってくるなと思っている今日この頃です。
「あのとき、上司に一言言ってればこんなことにならなかったのに」
「競合相手の心理を考えれば、こんな値段じゃ勝てるわけなかった」
こんな後悔をする場面が時々訪れます。
例えば上記の例でいくと、
「これは早めに上司に話しておかないと、こんなことになるんじゃないか?」
「相手はウチと競合になっていることは知っているだろう。なら、ウチに勝つためにこのくらいの値段で提示してくるとすれば、ウチはこれくらいでいかないと勝てないな」
など、ちょっと想像することで先読みをする考えが生まれます。
ぶっちゃけ、気を抜いてたら気が付かないんです。
常に考えて行動できていますか?
一つ寓話を紹介します。
『2ズウォッティのモイシュ』
穀物を売り買いする商人のところで、モイシュという名前の若い男が働いていた。
賃金は週に2ズウォッティ(ポーランドのお金の単位)だった。
長いことそこで働いていたモイシュは、あるとき「自分の賃金はなぜこんなに少ないのか?」と主人に聞いた。
「もう一人のモイシュが週に6ズウォッティもらっているのに、なぜ、自分は2ズウォッティなんですか?」
その穀物商のところでは、もう一人、モイシュという男が働いていたのだ。
「まぁ、待て」と主人は言った。「そのうち理由を教えてやる」
数日後、その穀物商の家の下の道を、10台ばかりの荷馬車が隊列を組んで通りかかった。主人は急いで2ズウォッティのモイシュを呼んで命じた。
「道に下りていって、何を運んでいるのか聞いてこい」
モイシュは道に下り、戻ってきて報告した。「トウモロコシを運んでいるそうです」
主人は命じた。「どこにトウモロコシを運んでいるのか聞いてこい」
モイシュはまた道に下って、荷馬車まで駆けていった。しばらくするとモイシュは戻ってきて報告した。「トウモロコシを市場に運んでいるそうです」「急いで下りて、誰に頼まれてトウモロコシを運んでいるのか聞いてこい」
荷馬車はもう村はずれにさしかかっていたので、あわれなモイシュは犬のように走らなければならなかった。モイシュ走って戻ってくると言った。
「隣町の町長さんに頼まれた荷物だそうです」「じゃあ、トウモロコシの値段を聞いてこい」モイシュは、荷馬車に追いつこうと、馬に飛び乗った。戻ってトウモロコシの値段を伝えると主人は言った「そこで、少し待っておれ」
主人はもう一人のモイシュ、つまり6ズウォッティのモイシュを呼んで言った。
「道に下りていって、さっき通った荷馬車の商人たちの様子を見てきてくれ」
6ズウォッティのモイシュは、馬にまたがって荷馬車を追った。少しして、モイシュは戻ってきて報告した。
「あの人たちは、隣町の町長さんに頼まれて、トウモロコシを市場に運んでいる商人たちでした。それで、売値を聞いて、すぐさま、それより少し高い値段で買うと申しましたら、重い荷物を運ぶのに疲れたので、うちの倉庫に荷を下ろすと決めてくれました。今、こちらに向かっています。」
穀物商の主人は2ズウォッティのモイシュに言った。
「これで、もう一人のモイシュとお前の賃金が違う理由が分かっただろう?」
戸田智弘著 『座右の寓話』より
この寓話の教訓は、「相手が何を求めているのか?」ということだと思います。
「何を運んでいるのか聞いてこい」と言われて、それしか聞いてこないのは「ただ、言われたことしかできない」人です。
そこで、「この人はなんのためにそんな指示を出すんだろうか?」「これをこうしたいということだろうか?」と、想像できる人がビジネスの場において評価されるんだと思います。
なんでも即「はい、わかりました!」と言って、言われたことだけやるのは「実は何もわかっていない」ということ。
想像できなければ、「その指示の意図は何ですか?」「どうしたいと思われていますか?」と聞けばいい。
うまく質問していくことも重要なスキルだと思います。
質問に関する記事もまとめています。
「ボーっと生きるな!何でも好奇心を持て!疑問を抱け!」と言われているような寓話だなと僕は感じました。